ふたごは、単胎児とは異なる心身の発達パターンを持つことが知られています。しかし、わが国では、ふたごと単胎児の発達の違いに影響するような環境要因の研究が立ち遅れており、特に心理的側面(言語能力など)についての基礎資料はほとんど無い状況です。また、ふたごという同年齢のきょうだいの存在とその関係性が持つ心理的影響についての研究も極めて少ないのが現状です。
「ふたごの研究」は、ふたごと単胎児に同じ調査をおこない結果を比較することによって、単胎児と比較したふたごの特異性とその説明要因を明らかにすることを目的としています。
子どもの心身の発達については、数多くの環境要因(親の養育態度やストレスなど)が影響することがわかっています。しかし、それが環境だけの影響なのか、子どもの遺伝的要因も反映しているのかはまだ明らかになっていません。“純粋”な環境の効果を示すためには、行動遺伝学の手法等を用いた研究が必要となるのです。
また、遺伝子や環境は相互作用的に働いている可能性もあります。例えば、子どもの社会性に関わる遺伝的要因は、特定の環境条件に置かれた時にのみ影響力を発揮するのかもしれません。このように「ふたごによる研究」は、子どもの発達における遺伝と環境の複雑なメカニズムを解明することを目的としています。
ふたごの親は一度に2人の子どもを育てなければならず、育児ストレスは単胎児の子育ての2倍以上であるとされています。しかし、これまでこうした点に着目した研究はほとんどありませんでした。「ふたごのための」研究は、こうしたふたご育てのストレスを軽減する諸要因について明らかにすることを目的としています。また、研究の成果は、単胎児の育児にも適用可能な一般的知見を生み出す可能性があると考えています。
各調査月齢での主要な調査内容は以下の通りです。
※表のオレンジ色でハイライトしている箇所は、主として家庭訪問調査です。