主人にも私の家系にもふたごはいません。なぜ私たちにふたごが授かったのでしょうか?

ふたごには一卵性のふたごと二卵性のふたごの2つのタイプがあります。生命の始まりは精子と卵が受精してできる受精卵ですが、一卵性のふたごは、「ひとつの受精卵」(一卵)が発生の早い段階で二つに分かれてそのまま育ったものです。一方で、二卵性のふたごは、別々の「ふたつの受精卵」(二卵)が同じ子宮の中で育ったものです。また、一般にはふたごの生まれやすい家系があることが知られています。この傾向は特に二卵性の場合に強いとされています。しかし、これは多くの家系を集めてわかる統計的な結果ですし、ふたごの発生にかかわる要因は家族的なもの以外にも多くが知られています。ですから身内にふたごがいなくても、ふたごのお子さんが生まれる可能性はあるのです。

パパもふたごです。やっぱりふたごは遺伝するんでしょうか。

自然の多胎妊娠に遺伝傾向があることは古くから知られています。この傾向は二卵性の双生児出産で明らかです。一卵性の双生児出産には一般に遺伝性はないと言われます。しかし、時として一卵性双生児が代々伝わる家系があり、一部は遺伝している可能性があります。二卵性の出産は多排卵(排卵数が多い)が原因ですのでこの傾向が遺伝することになります。ただし、その遺伝の仕方は複雑で今のところ定説はありません。母方を通じて伝わることが多いとされています。

一卵性は「うりふたつ」というイメージでしたが、実際うちの子は顔も性格も似ていません。なぜでしょう?

赤ちゃんはふたごといえども、産まれたときからそれぞれに個性的です。ある研究では、生まれたばかりの頃は一卵性も二卵性も似ている程度は同じくらいなのに、成長とともに卵性のちがいがはっきりしてくるという報告もあります。

また、場合によっては、ほんとうは二卵性なのに、間違って一卵性と告げられたのかもしれません。それは胎盤が一つだと一卵性、二つだと二卵性とお考えの先生がまだたくさんいらっしゃるからです。一卵性でも二つの胎盤で生まれてくる場合が25%くらいあります。正しい卵性を知るためにはDNAを調べなければなりません。いずれの卵性であっても、一人一人の個性を大切にして育ててあげることが必要だと思います。

妊娠中、おなかの中がきゅうくつだったのか、頭のかたちが悪くなってしまったような気がします。頭のかたちで知能の善し悪しが出てくるでしょうか。

赤ちゃんの頭のかたちは左右対称ではないことが多く、心配の種になります。これは主に、産まれる時に頭がこすれるか、産まれてからの寝ている時の向き癖、例えば右を向いて寝ている癖のあるお子さんは後ろ右が平べったくなるなど、どちらか片方向いていることで平らになったりして起こります。おなかの中が二人で狭かった影響で頭のかたちが悪くなることはほとんどありません。原因はどうあれ、頭の外見の悪さが原因で知能に影響が出ることはありませんので心配しなくてもだいじょうぶです。

ふたごの出産には帝王切開が多いのですか。

単胎児の出産と比べるとふたごの出産では、さまざまなリスクが伴いますから、一般的に帝王切開の割合は高くなります。帝王切開は日時を決めて実施できるので、スタッフを待機できると言う意味で医療体制を整えやすく、ハイリスクな分娩ではむしろ「安全」だと言えます。帝王切開と聞くと一般の人はネガティブなイメージを抱きやすいのですが必ずしもそうとばかりは言えません。多胎のお産に関してマニュアル化された手順があるわけではないので、かなりの部分はその病院(あるいは担当医)の方針に依存する部分があります。帝王切開が多い別の理由として、帝王切開を望む妊婦が増えていることもあげられます。自然出産が流行のように思われるかもしれませんが、実際には必ずしもそうとはいえません。

一絨毛膜一羊膜双胎で、出産まで結構大変でした。子どもに影響がないか心配です。

体重についていえば、生まれたときには確かに一絨毛膜一羊膜双胎の場合には、ふたごの中でもやや小さくなる傾向が見られます。しかし、この差は少なくとも、1歳までには消失することがわかっています。実のところ、膜性(絨毛膜や羊膜の形態の違い)が問題になるのは主として妊娠・出産の管理に関する産科の領域の話です。出生後にどのような影響が出てくるのか、あるいはそうした影響はほとんどないのかについては、詳しいデータがないのが現状です。なぜなら、いったん出産し退院してしまうと、特別な事情がない限り、普通はその後の長期的なフォローをしないからです。ToTCoPの研究ではこうした点も大切に考え、正しい情報を提供することを目的のひとつにしています。

一絨毛膜一羊膜といわれましたが、一方は先天性の病気を持っているのにもう一人はありません。こういうことってあるんですか。

一般に双胎出産では単胎出産と比較して先天性の疾患が多発することが知られています。この傾向は一卵性双胎、特に一絨毛膜双胎において顕著となります。その原因として早産と膜性(一絨毛膜か二絨毛膜か)の問題があります。一絨毛膜一羊膜の双胎は一卵性のおよそ1%に見られる比較的まれな膜性パターンです。一卵性の中でも特に周産期のリスクが高くなります。先天性疾患の多くは遺伝の影響とともに子宮内のさまざまな環境の影響を受けています。したがって、たとえ遺伝的には同一である一卵性(あるいは一絨毛膜性)双胎であっても必ずしも疾患が一致するとは限りません。

2人ともアトピー、食物アレルギーで1人は喘息の発作で2回入院しました。やはりふたごなのでもう1人も喘息が出るのではと心配です。

アレルギー体質は生まれつきのもので、親兄弟にアレルギーがあるとなりやすいと言われています。一卵性で遺伝子が全く同じであれば、体質がよく似ると考えられますし、たとえ二卵性であってもきょうだいがほとんど同じ環境で育つわけですから、アレルギーの症状の出方も似てくることは、充分考えられます。しかしその程度がどのくらいなのかというと、人種によってもまた報告によってもまちまちで、一概には言えません。ふたごであっても、片方しかぜんそくにならない場合もあります。すでに食物アレルギーが分かっていて、除去なさっているのでしょうから、アレルゲンの対応はきっと万全でしょう。もしハウスダストなど、食物以外にもわかっていたら、その対応もしましょう。また、片方のお子さんのぜんそくの出やすい状況が来たら、加湿をしたり、水分を多めにあげるなど、もう片方のお子さんの症状の出にくい状況を作る工夫をしてみてはいかがでしょう。

言葉の発達の遅れが気になり、療育センターに通うようになりました。遅れは広がるばかりです。ふたごだから語りかけの機会がどうしても少なくなり、愛情不足だったのかと悩み、もっとゆっくり向き合って接してあげればよかったと後悔ばかりです。幼稚園でも公園でも、友達のおうちへ連れて行っても、ふたりきりの世界で遊んでしまって他の子どもと全く一緒に遊ぼうとしません。ふたりの間でしか分からない言葉も多くて困っています。(48ヶ月)

ふたごの場合、言葉がなくても通じあうものがあり、言葉が遅れることがよくあります。たいていの場合すぐに追いつきますので心配いりません。こんなに悩んでお子さんのことを考えているお母さんなのですから愛情不足のはずはありません。子どもにもお母さんにも個性があり、子育てはマニュアル通りにはいかないものです。ふたりだけで遊ぶ、というのもよくあることで、たいていの場合だんだん他の子とも遊べるようになります。気長に様子を見ていきましょう。

なお、他の面でも遅れがあり、心配な場合にはやはり専門の医師に診てもらうことが必要でしょう。早く発見できればその子にあった教え方を早く始めることができ、効果が大きくなります。

同じ食べ物をあげているのに子どもの大きさに違いがあります。 年子によくまちがえられます。(42ヵ月・母)

二卵性でしょうか? 個人差は仕方ないのであまり気にしないで。

我が家のふたごは一卵性ですが、中1の時は9cmの身長差があり、兄弟に見えましたが、結局1cmくらいの差になりました。成長期にズレが出ることもあるようです。